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    (2020年度 早川)

岡山理科大学プロジェクト研究推進事業
(2020年度 早川)

エピジェネティクス・オートファジー相互作用に着目した「難治療性」癌の分子基盤の解明

 研究代表者

 獣医学部 獣医学科 講師 早川 晃司

 研究メンバー

 獣医学部 獣医保険看護学科 助教 野原 正勝
 獣医学部 獣医学科 助教 藤原 信行

 研究目的 

①背景と経緯
 癌治療はこれまでの研究・開発によって大きく進展し、予後も改善されてきた。しかし、これまで確立された技術では効果的な治療に結びつかない癌種が存在することも分かってきおり、それらは「難治療性」癌と呼ばれる。例えば、2019年8月の国立がんセンターの報告では、膵臓がんの5年生存率が9.6%と他の癌種に比べ特に低く、治療上の大きな問題となっている。一般に、正常細胞に比べ癌細胞では、遺伝子調節機構であるエピジェネティクス制御系の破綻が起こっており、栄養の再利用機構であるオートファジーの活性も高いことが報告されている。「難治療性」癌細胞の異常な表現型にもこれらの制御系の関与は考えられるが、これまで行われてきた研究と同じスキームでは「難治療性」の核心に近い分子基盤を明らかにすることは困難である。どちらかが問題といった単一的な考え方ではなく、どちらも相互に関係しあうといった新たな視点をもって問題解決に臨み、治療標的を探索していくことが必要である。

②研究期間内の目標
 「難治療性」癌細胞におけるエピジェネティクス・オートファジー制御の特徴を明らかにし、治療の標的となり得る相互作用因子を得る。

③特色および独創性
 癌研究分野は古くから多くの研究者の注目を集めているが、「難治療性」癌細胞に着目した研究は少なく、本研究の特色と言える。また、エピジェネティクスとオートファジーそれぞれは生物学の分野で確実に市民権を得ているが、両者を結び付けて論じられた生命現象はこれまでなく、独創性が非常に高い。本研究によって、オートファジカルエピジェネティクス (Autophagical Epigenetics) という新しい分野を創造でき、岡山理科大学がこの新分野と「難治療性」癌研究の先導者になることを目指す。

④協働効果
 早川はエピジェネティクス、藤原はオートファジーに関する研究を一貫して行ってきた。加えて、実験動物1級技術者でもある野原は熟練した動物操作技術を有し、質の高いデータを得るためには欠かせない存在である。上記に掲げた新分野はこれまで全く異なった生命現象を対象としてきた申請者らだけが生み出すことができ、さらには「難治療性」癌という問題解決も期待できる。

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