1. 研究・社会連携部TOP > 
  2. 岡山理科大学プロジェクト研究推進事業 トップページ > 
  3. 岡山理科大学プロジェクト研究推進事業(平成28年度) > 
  4. 岡山理科大学プロジェクト研究推進事業(平成28年度 清水)

岡山理科大学プロジェクト研究推進事業(平成28年度 清水)

巨大動物を媒介とした地域連携の深化と教育普及に関する研究
-池田動物園,インドゾウのメリーの資料化と全身復元骨格模型による社会貢献-

 研究代表者

 理学部・動物学科 教授 清水 慶子

 研究メンバー

 理学部・動物学科      教授  愛甲 博美
 理学部・動物学科      教授  淺田 伸彦
 理学部・動物学科      教授  岡本 弥彦
 理学部・動物学科      教授  高崎 浩幸
 理学部・動物学科      准教授 小林 秀司
 理学部・動物学科      准教授 目加田 和之
 生物地球学部・生物地球学科 教授  富岡 直人
 生物地球学部・生物地球学科 准教授 中村 圭司
 教育学部・初等教育学科   教授  高原 周一

 研究目的 

 ①背景と経緯
  2016年2月14日,およそ半世紀にわたって飼育されてきた池田動物園のインドゾウ,メリーが急逝した.メ
 リーは,長い間広く岡山の市民に親しまれ,動物愛護の象徴とも言える存在であったが,今回の訃報を受けて,
 メリーの遺体をどのような形で安置・保存していくことが良いのか,メリーの姿を何らかの形で残していきたい
 という市民の願いに応えることは可能なのかという問題は,喫緊の課題となっていた.
  インドゾウの属する長鼻目は,現在,地上最大の陸生動物としてつとに有名であるが,それだけでなく,一次
 消費者でありながら有力な天敵がいないという生態系上,きわめて特異な位置を占めており,その地位を獲得す
 るために達成した,解剖,生理,遺伝,繁殖,生態,行動等の多岐にわたる適応は,生命とそれを育んできた地
 球環境の成り立ちを考える上で,好適な研究・学習材料といえる.
  メリーの死後,骨格を主体とした硬組織に関しては,本学の学芸員課程に,保存および安置のための資料化協
 力依頼があった.しかし,3トンの体重を支える骨格を資料化するためには,本来,経験に基づく技術力が必要
 なだけでなく,大きさと重量に対応した空間の確保と専用の設備が必要であり,それを学内設備のみで賄う事は
 現実的でない.そこで岡山理科大学理学部と生物地球学部,科学ボランティアセンターでは,これを契機として
 ,池田動物園との地域連携を強化し,本学学生と岡山の児童生徒に対する研究教育環境の向上,岡山市民に対す
 る社会貢献のため,このたびの研究推進プロジェクトに申請を行う運びとなった.

  ②研究期間内の目標
  本プロジェクトの目標は,巨大動物の全身骨格複製を製作し,その特性を生かして,より質の高い研究および
 教育普及活動に結びつけることであり,同時に,メリーの姿を何らかの形で残したいという市民の願いを実現す
 ることで社会貢献を果たすことにある.ゾウのような巨大動物の実物資料は,生物の体の仕組み,生命の多様性
 ,地球環境の変遷の歴史を学生や児童生徒に実感させるために恰好の対象であるが,その資料化と活用は,一部
 専門の博物館などをのぞき,これまでほとんど行われてこなかった.今回のインドゾウ,メリーの資料化は,巨
 大動物の実物複製資料を媒介とした研究・教育の推進と地域連携の深化を図る好適な機会である.また,全身実
 物複製模型を学内に展示することで学生の知的好奇心を喚起し,研究・教育機会の向上に資するとともに,前腕
 骨など,大型パーツの部分複製を作成することにより,通常の教育普及活動に取り入れて「巨大動物を活用した
 科学教育」が実践可能な状況の創出をはかる.

 ③特色および独創性
  本プロジェクトの特色は,これまで協力協定を締結していた機関どうしが,急逝したインドゾウのメリーとい
 う巨大動物の資料化を通して,地域連携をさらに深め,社会貢献の推進を図ることにある.これまで行われてき
 た大学と動物園の研究教育に関する協力は,共同で飼育環境の改善に取り組むケースや繁殖に関するものが一般
 的であり,動物遺体は動物園から大学に寄贈されるという形で利用されることが多かった.今回のケースは,通
 常では利用しにくい巨大動物の資料化を行う事で,より質の高い研究・教育を実現すると同時に,さらには市民
 の要望にも応える形で社会貢献にもつながる点に独創性がある.

PAGE TOP