近年、日本のワインに対する世界的認知が高まりワインの国内マーケットが拡大していますが、ワイン醸造、機能性開発及び醸造微生物分野に関する研究は少なく、ワイン醸造技術の開発・研究及びワイン醸造に関わる人材を養成する拠点形成の必要性が高まってきています。
岡山県は「晴れの国おかやま」と呼ばれるように日照時間が長く、気候が温暖で豊富な水資源に恵まれ、地形をいかした果樹の栽培が盛んな地域です。新見市がワイン特区に指定された事を機に、本学はtetta(株)及び新見市との包括協定を締結し、産学官連携事業をスタートさせます。このように、県下ではワイン醸造による地域振興の拠点化が計画されていますが、ブドウ酒・清酒などの醸造・発酵技術研究を行っている大学や研究所は少なく、本学にその役割が期待されています。
岡山理科大学ワイン発酵科学センターは、新たなワイン醸造及び貯蔵技術の開発、ワインの味や香り形成に重要な役割を果たす高分子化合物の特性の解析、有用な酵母の検索、ワイン用のブドウ栽培を行う事を目的とします。また、「岡山理科大学ワインプロジェクトプログラム」をサポートし、ワイン醸造及びその関連分野で活躍できる人材の育成を積極的に支援します。
さらに、本センターは、岡山県内における産学官でのワイン醸造による地域振興の研究拠点形成を目指します。
岡山理科大学 ワイン発酵科学センター長 金子 明裕
「醸造技術」「醸造微生物」「醸造用ブドウ栽培」の領域について、学術研究を推進する。具体的には、醸造に適した微生物の探索、ワイン製造に不可欠な果樹の育成、最先端の科学機器を用いて香り成分の分析などによる品質評価を行う。また、ワインだけでなく日本酒や発酵食品なども含む、地域に根ざした発酵分野の研究開発にもつなげていく予定である。
地域のワインメーカー及び酒造所と協働し、上記の研究課題に対して取り組み、地域ブランドワインの開発につなげる。その際、本学及び地域企業の所有する施設・設備の共同利用・有効活用など地域企業と本学との連携体制の構築を推進する。これらの成果については、研究連携支援室と協働し、知的財産に関する管理や社会への発信に努める。
ワイン及び酒類醸造に関する基礎的な知識の理解と醸造技術の修得を目的とする「岡山理科大学ワインプロジェクトプログラム」を通じて、ワイン文化の普及やワイン産業及びその関連分野で活躍しうる人材を育成する。課題解決型教育(PBL)においては、地域企業から提供される具体的課題に取り組むべく、課題の選定や実務家との協力体制の構築に努める。