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    (2019年度 折田)

岡山理科大学プロジェクト研究推進事業
(2019年度 折田)

革新的光エネルギー活用法を目指す分子設計化学

 研究代表者

 工学部・バイオ・応用化学科 教授 折田 明浩

 研究メンバー

 バイオ・応用化学科 助教 奥田 靖浩
 フロンティア理工学研究所 教授 赤司 治夫
 化学科 准教授 岩永 哲夫
 化学科 教授 酒井 誠
 生物化学科 教授 林 謙一郎
 基礎理学科 教授 東村 秀之
 化学科 教授 満身 稔

 研究目的 

①背景と経緯
 有機化学系教員を中心とする本グループは,私立大学戦略的研究基盤形成支援事業の助成を受け,「ハイテクリサーチセンター」および「グリーン元素科学」では,新物質の創製と新機能の発現を探索してきた.これまでに蛍光発光色素,抗腫瘍活性分子や植物成長ホルモン分子の自在合成に成功しただけでなく,それら新化合物の有用性・実用性および生体内での機能や生理活性を明らかにしてきた.また,28年度プロジェクト研究推進事業では「医療・生体関連分野への応用展開を指向した発光型センシング小分子の創製」29年度プロジェクトでは,「有機合成化学を起点とするものづくり戦略」を中心に研究を推進し,刺激応答型色素の開発や植物生長因子の探求に有効な発光型オーキシンを開発した.従来のプロジェクトから,各メンバーが「光エネルギー」を有効利用する端緒を掴みつつあることから,本プロジェクトでは精密かつ柔軟な“分子設計”によるアプローチから,光エネルギー活用技術の新展開を図りたい.

②研究期間内の目標
 本プロジェクトは,有機合成を基盤とする分子設計および合成反応を通じて,光科学に革新的な進展をもたらす基盤技術の確立および研究拠点の形成を目指す. 具体的には,3つの大きな研究テーマに集約される.「光を効率良く捕まえる(折田・奥田)」「光エネルギーを高効率で利用する(赤司・岩永・林・満身・東村)」「光エネルギーの移動をモニターする(酒井)」 これら3つのテーマから得られた各メンバーの研究成果を有機的に組み合わせたり,メンバー間での協働を通じて,光エネルギーの革新的利用法の開拓に取り組む.また,学会や専門誌上で発表するだけでなく,得られた結果・成果をHPやOUSフォーラム等を通じて岡山県内外の企業へも広く広報する.さらに,岡山県産業振興財団を通じて,岡山県下の企業とできる限り密な情報交換を図り,アカデミアおよびものづくりの現場の活性化を目指す. 本プロジェクトメンバーを核に何名かのメンバーがチームを組むことで,科学研究費助成事業 基盤研究Bへの申請を行うなど,大型プロジェクトへの継続申請を通じて更なる研究の発展・展開を狙う予定である.

③特色および独創性
 “太陽光”は,環境低負荷型で持続可能なエネルギー資源であり,現在では,より高い光電変換効率を目指した研究が世界中で展開されている.現在,世界中で展開される“太陽光”の光電変換は,Grätzelによって開発された色素増感型太陽電池や2種類の半導体を接合したPN接合型太陽電池によって実施される.一般的には,高い光電変換効率を達成するために,様々な色素や導電材料の検討が行われる.一方,本プロジェクトでは,こうした従来の光電変換研究とは一線を画し,全く異なる切り口から“光エネルギー”の有効利用法を探る.具体的には,カーボンナノチューブに自在に有機分子を内包させて,新たな光材料を創製したり,植物用光触媒とも呼べる植物ホルモン“オーキシン”を創製するなど,これまで誰の発想すらしなかった手法で光エネルギーの有効利用を試みる.また,従来は熱エネルギーとして損失が避けられなかった光励起からエネルギーをアップコンバーションによって発光に利用するなど,社会的要請の高い研究にも取り組む.本研究では,狙った機能を発現できるよう有機分子を緻密に設計・合成した後に性能評価を行うが,「望む分子を自在にデザインし,作る 」という作業は,有機化学者にのみ可能な基盤技術であり,本学の有機化学系教員の力を結集して,革新的な光機能を生み出すことを可能にする「分子設計・合成・評価」に挑む.

④協働効果
 本プロジェクトのメンバーは,いずれも有機合成を基盤技術として有するが,日頃は異なる研究テーマに取り組んでいる.ここでは,各メンバーが得意な「光を捕まえる(折田・奥田)」,「光を利用する(赤司・岩永・林・満身・東村)」,「光をモニターする(酒井)」といったテクノロジーを組み合わせることで,新領域展開を目指す.具体的には,3つのサブテーマ内で,積極的な意見の交換や討論を通じて新物質を創製すると同時に,異なるバックグラウンドを持つサブテーマ間での協働から,これまで予想もしなかった新しい光化学の発見や展開を狙う.また,卓越した分析技術や評価システムを有する他のプロジェクトチームとも連携を図り,プロジェクト間の協働へも繋げたい.

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