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    (2023年度 江藤 )

岡山理科大学プロジェクト研究推進事業
(2023年度 江藤 )

新学術領域、獣医療工学・獣医療福祉工学の創生を目指した社会実装型動物関連デバイスの開発

 研究代表者

獣医学部 獣医学科 教授 江藤 真澄

 研究メンバー

 情報理工学部 情報理工学科 教授 赤木 哲也
 情報理工学部 情報理工学科 准教授 久野 弘明
 情報理工学部 情報理工学科 准教授 趙 菲菲
 情報理工学部 情報理工学科 助教 横田 雅司
 獣医学部 獣医学科 助手 朱 夏希
 獣医学部 獣医保健看護学科 准教授 古本 佳代
 獣医学部 獣医保健看護学科 講師 佐伯 香織
 獣医学部 獣医保健看護学科 准教授 久枝 啓一

 研究目的 

①本研究の背景

 

本研究の背景と着想に至った経緯

 ウィズコロナ・ポストコロナ時代においてペットブームが訪れ、日本では014歳の人口を超える匹数のペットが飼育されるようになった。加えて、米国欧州で進むアニマルウェルフェア(動物福祉)重視の流れは日本の畜産農家とそれを支える産業動物獣医師の負担を増大させている。獣医療の高度化・高効率化は愛玩動物・産業動物の健康の維持だけではなく、動物と人の豊かな共存を支えるためにも喫緊の課題である。

本研究の着想に至った経緯

 工学的技術や知識を用いてより効果的かつ効率的な人医療における予防法・診断法・治療法および様々な理由でハンディキャップを負う人の生活の質・人生の質の向上(QOL)を支援する方法を開発する目的で、医学と工学の連携から医療工学・医療福祉工学分野が生まれ、これらの分野が人医療の近代化・高度化を牽引してきた。医療工学・医療福祉工学研究に基づき開発された高度医療機器・システムは獣医療にも転用され、獣医療現場を支えている。しかしながら、人のために開発された医療機器・システムを獣医療に応用する際には、1)コストの制約、2)動物個体のサイズの制約、3)耐久性の制約、4)動物特有のデバイスに対する反応の制約、5)個体の寿命の違いのため生じる制約、など明らかな制限がある。従って、獣医療・看護現場を基点とする獣医療デバイス開発の必要性は高い。獣医学と工学の知識と技術を組み合わせた獣医療工学・獣医療福祉工学を創生することで、動物の医療に関する課題解決、獣医学や動物福祉の向上、動物と人の豊かな共存の促進など、多くの面で貢献できることが期待される。
 産業の面から見ると、2017年からの日本国内総生産の伸び率が平均1.0%だったのに対し、ペット関連産業は同時期に平均4.3%の伸び率となったことから、明らかにこの分野は堅調に拡大している(出典:日本ペットフード協会)。驚くべきことに米国では平均5%以上の成長率を示し、これを牽引するのが技術開発によって生みだされる高機能化製品である(出典:Forbes Online Jan 2023)。従って、獣医療分野における技術開発を担うべき獣医療工学・獣医療福祉工学は新規産業基盤としてのポテンシャルも大きい。

③本研究の目的と研究期間内の目標

 本プロジェクト研究の目的は動物と人の豊かな共生社会実現であり、その実現を可能にするために「獣医療工学・獣医療福祉工学のコンセプトを岡山理科大学において成熟させること」である。今回、獣医療臨床・獣医療看護・動物福祉・公共獣医事分野における課題に対応するための社会実装可能なデバイスを開発することで、獣医療工学・獣医療福祉工学のコンセプトと獣工連携の意義と重要性を理解してもらい、新学術領域の概念を立証する。
 本プロジェクトのメンバーの多くは2020年より個々に獣工連携共同研究を進めてきており、成果を積み重ねてきた。本プロジェクト研究では先行研究結果に基づき、以下5つの獣医療工学・獣医療福祉工学が扱う予防・診断・治療・QOL向上に加えて獣医療における教育を支援する製品化可能なデバイスプロトタイプを開発することを研究目標とする。期待される研究成果を学会・論文発表やシーズ提案を介して獣医学・工学分野の専門家や産業界に発信することで新学術領域の基盤を築く。 

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