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    (2023年度 豊田 )

岡山理科大学プロジェクト研究推進事業
(2023年度 豊田 )

恐竜を中心とした新たな本学シーズの確立

 研究代表者

研究・社会連携機構 古生物学・年代学研究センター  教授 豊田 新

 研究メンバー

 研究・社会連携機構 古生物学・年代学研究センター  特担教授 石垣 忍
 生物地球学部 生物地球学科 教授 高橋 亮雄
 研究・社会連携機構 フロンティア理工学研究所 教授 畠山 唯達
 工学部 機械システム工学科 教授 衣笠 哲也
 工学部 応用化学科 教授 押谷 潤
 理学部 動物学科 教授 名取 真人
 教育推進機構 基盤教育センター 准教授 青木 一勝
 生物地球学部 生物地球学科 准教授 林 昭次
 教育推進機構 基盤教育センター 准教授 佐藤 友彦
 モンゴル科学アカデミー古生物学研究所 Director Khishigjav Tsogtbaatar
 モンゴル科学アカデミー古生物学研究所 Researcher  Buunvei Maynbayar
 モンゴル科学アカデミー古生物学研究所 Researcher Batsaikhan Buyantegsh

 研究目的 

①本研究の背景

 後期白亜紀(約 1 億年前~6600 万年前)は、恐竜類の拡散と絶滅が起ったと同時に、現生食物網へとつながる陸上脊椎動物相の多様化もすすんだと考えられている。しかし、これらの仮設を支える知見は、当時の沿岸部およびその付近の地層や化石、また欧米を中心とする地理的に偏った記録に基づいており、中央から東アジアの動物相や古環境のカギとなる記録は限られている。

本研究の着想に至った経緯

 本研究グループは、研究教育協定を結ぶモンゴル科学アカデミー古生物学研究所(以下「IPMAS」
と呼称)との国際共同研究に基づいて、私立大学研究ブランディング事業(2016 年度~2019 年度)、プロジェクト研究推進事業(2020 年度~2021 年度)、学術振興会二国間交流事業(2021 年度~2022 年度)などを継続実施し、モンゴルゴビ砂漠にて脊椎動物化石の発掘と採取をし、年代学的・地質学的検討を通して、当時の動物相解明と年代解明や生息環境復元などを議論し、本学研究ブランドの基礎づくりに努めてきた。

③本研究の目的と研究期間内の目標

 本申請研究では、これまでの研究成果に立脚し、かつ本学既存の研究シーズとの連携や融合を通して、以下の研究により、新たな研究ブランドの確立を図る。

I.脊椎動物化石の分類学的研究と年代測定
 これまでの発掘調査を通して得られた、新種哺乳類化石を含む、多様な脊椎動物化石(恐竜類・哺乳
類・ワニ類・トカゲ類・両生類など)について、これらの分類学的帰属の検討を進める。これには、後述するIPMASの蓄積・保管してきた多様な系統の比較標本を比較に活用する。特に、この時代に生息していた哺乳類を記載することは、新生代以降における哺乳類の進化を議論する上で極めて重要である。一方、これらを産出した地層の一部は、本学研究成果を基に絶対年代を得ている(Kurumada et al., 2020, Terra Nova; Tanabe et al., submitted)。地層記載を終了し(e.g., Saneyoshi et al., 2021)、かつ広域かつ局所的に分布する複数層に対して、地質年代を決定し、動物相の進化や環境変遷との関連を議論する。すでに一部地域については、年代測定用試料(炭酸塩古土壌・古地磁気測定用試料・恐竜の歯化石)の採取と輸送を完了している。これらの試料に対し本学設置の各種測定機器を用いた先駆的な測定と、本申請にて得られる岩石試料の年代測定を継続実施する。加えて、予察的であるが、上部白
亜系は基盤の古生代付加体岩体より砕屑物を供給されたことが明らかになりつつある。これらの付加体岩体に対し、地質調査及び年代推定を目的とした新たな調査を行い、上部白亜系堆積時における供給源の解明などに取り組み、年代の推定に応用する。


II.新たな研究シーズを取り入れた古生物学研究
 本研究では、特に工学的な学内シーズとの融合により、新たな古生物学的研究の展開を目指す。具体
的には、絶滅動物の生態復元を目的に、骨の構造や解剖学的特徴、足跡化石に基づく歩行形態、それら
を基礎とした応用工学的研究を実施し、歩行ロボット技術の基礎開発につなげる。また、脊椎動物化石
を効率的に採取することを目的に、新たに、粉体工学を利用した化石採取法の開発を検討する。これら
を通して、世界的にも例を見ない工学と古生物学の融合を目指す。


III.古生物学・年代学研究センターと恐竜学博物館を中心とした研究ブランドの強化
 本申請研究の経過や研究成果は恐竜学博物館を通じて学外に直接広報される。本申請研究によって、
これまで本学で実施されてきた地球科学系のプロジェクトにより蓄積され、恐竜学の進展にともない古
生物学・年代学研究センターへと継承された研究の蓄積を、本学独自の研究ブランドを確立し、発展さ
せることができる。また、このために本学の研究シーズを動員して、全学的な取り組みとしての本学の
ブランドを形成することにより、それを社会的に認知してもらうことができる。本申請研究は、IPMAS
との極めて強固な研究体制を構築してきた背景に基づいており、本学の国際共同研究強化に大きく寄与
することに疑いはない。学内の各学部・機構に属する研究者が、本センターと博物館に集い、議論し、
未知の研究シーズを育むことが可能となり、新たな恐竜学の進展と確立へ貢献できるだろう。

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