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理学部 応用数学科
- 教授
大 江 貴 司
- 研究分野
偏微分方程式の逆問題の数値解析的研究
- キーワード
偏微分方程式、逆問題、数値解析
- 研 究
テーマ -
- 波動方程式における波源再構成問題の数値解析
- 逆散乱問題における介在物再構成問題の数値解析
- 異常拡散現象の数値解析
- 計算が不安定になる問題に対する安定な解法の開発
研究活動の概要偏微分方程式の逆問題とは、大まかにいえば、直接には触れることのできないものを、外部にある情報から推定する問題です。例えばX線CTやソーナーなどを考えていただき、それらの数学的な表現であると考えていただければよろしいかと思います。
私の研究室では、偏微分方程式の逆問題に対する、簡便で、精度の高い数値解析手法の研究と開発を行っています。特に騒音や探知の難しい音源について、その位置や動きを推定する手法に関する研究を進めています。
また、土壌の中の汚染物質の広がりの時間変化を追跡する異常拡散方程式について、数値解析手法の開発を行っています。- 希望する
連携内容 -
- 音源や汚染源の位置や動きを推定する方法に関する数理解析
- 土壌の中の汚染物質の広がりの数理解析に関する研究
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理学部 応用数学科
- 教授
黒 木 慎 太 郎
- 研究分野
変換群論、トーリックトポロジー
- キーワード
群作用、(同変)コホモロジー、グラフ
- 研 究
テーマ -
- コホモロジー剛性問題
- GKM理論の幾何への応用
- 群作用を持つ空間の分類問題 など
研究活動の概要空間がある種の対称性を持つ場合を、群作用を持つ空間または空間上に群の作用があると言います。近年になって、トーリック多様体に代表されるトーラス作用を持つような空間を組み合わせ論的な道具を用いて調べる手法が開発されてきました(トーリックトポロジーと呼ばれています)。トーリックトポロジーは、幾何、代数、組み合わせ論という一見異なる3つの分野が交錯する分野と考えることができます。今後は、これら3つの分野がより強く結びついた空間を模索しながら、それらの間の関係をより深く理解し、最終的には未解決な問題の解決に挑戦したいと考えています。
- 希望する
連携内容 -
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理学部 応用数学科
- 教授
浜 畑 芳 紀
- 研究分野
代数学、数論
- キーワード
デデキント和、ゼータ関数、ディリクレ級数、保型形式、関数体
- 研 究
テーマ -
- 正標数のデデキント和の研究
- ゼータ関数、L関数、ディリクレ級数の特殊値の研究
- 関数体の数論 など
研究活動の概要代数体と有限体上の1変数代数関数体の類似性は古くから知られています。数論はこの両方の土台の上で相互に影響しながら発展しました。私は、デデキント和という特別な数を利用して、数論に生息する関数たち、たとえば、ゼータ関数、L関数、ディリクレ級数、保型形式、保型関数などの性質を研究しています。また、このような関数を利用して、数の性質を研究しています。
- 希望する
連携内容 -
- 有限体の研究 など
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理学部 応用数学科
- 教授
渡 邊 道 之
- 研究分野
数学、解析学、数理物理学
- キーワード
偏微分方程式論、散乱理論、逆問題
- 研 究
テーマ -
- 偏微分方程式の解の一部の情報から方程式の未知係数を逆算する研究
- 非線形波動と量子力学における基礎方程式との関連性
- 量子力学の散乱理論と地震波の弾性波動方程式の関連性 など
研究活動の概要逆問題は、観測された現象や結果から直接的には観測できない原因や未知の物理的特性を推定する問題です。例えば、地震波のデータから地下構造や地震源の特性を推定する問題や、散乱粒子の振る舞いから原子や分子の配列構造に依存するポテンシャルを決定する問題が逆問題の例です。
これらの問題は、偏微分方程式を用いて数学的に定式化することができます。未知の物理的特性は、方程式の係数などで表現されます。逆問題の数学的解析では、方程式の解の部分的情報から方程式の未知の係数などを逆算する手法を開発し、その手法の解析的性質を調べることが課題となります。
本研究室では、量子力学における散乱の逆問題と非線形波動との関連性、さらに量子力学の散乱理論と地震波の弾性方程式との関連性について研究しています。散乱理論は、入射波が物体やポテンシャルによって散乱され、散乱波が生成される現象を記述する数学的な枠組みです。一方、地震波の弾性波動方程式は、地震や地下の構造物によって散乱される波動現象を記述します。これらの現象は、数学的には類似しているため、散乱理論の手法を地震波の研究に応用することができます。このような研究が進むことで、地震波の解析や予測が向上し、地球の内部構造の解明や地下資源の探索、津波の被害制御などの応用が可能になります。
数学的手法や解析を通じて、量子力学の散乱や非線形波動、地震波などの異なる現象間の関連性を明らかにすることは、新たな知見をもたらし、応用分野においても有益な成果を生むことが期待されます。異なる分野や現象の間に存在する数学的なつながりを見出し、その理解を深めることは数学研究の魅力でもあります。- 希望する
連携内容 -
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理学部 応用数学科
- 准教授
山 田 紀 美 子
- 研究分野
代数幾何学におけるモジュライ空間
- キーワード
代数曲面上のベクトル束のモジュライ、特異点、小平次元
- 研 究
テーマ -
- 代数曲面上のベクトル束のモジュライ
- モジュライの特異点・局所定義式
- モジュライの小平次元 など
研究活動の概要専門分野は、代数幾何学です。そこでは、多項式のゼロ点集合(代数多様体)を考えます。例えば、直線、円、双曲線、放物線が代数多様体となります。
ある一定の性質を持つ幾何的対象を全て集めてきた集合をモジュライ空間と呼びます。複素代数曲面X上の安定ベクトル束のモジュライ空間は、具体的な代数多様体の例として、活発に調べられています。
代数多様体Mに対しては、小平次元が定まります。Mの小平次元は、Mの曲率と関係する大事な不変量です。また、高次元多様体を理解するために極小モデル理論があります。これは、多様体を、その部分空間を爆発・つぶすことで手術して、より分かりやすいシンプルな多様体に変えるプログラムです。
私は、モジュライMの特異点、小平次元、極小モデルプログラムに興味があります。
(1)大きなクラスの代数曲面X上のベクトル束のモジュライ空間の極小モデル理論を、モジュライの言葉を使って記述しました。
(2) モジュライMの特異点を調べ、下部曲面Xの構造が比較的平易な時に、特異点が「たちがよい」ことを示しました。それを使い、Mの小平次元を計算しました。- 希望する
連携内容 -
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理学部 応用数学科
- 講師
井 上 雅 照
- 研究分野
位相幾何学
- キーワード
ホモトピー論
- 研 究
テーマ -
- Hit problem について
研究活動の概要位数2の有限体上のn変数多項式環には、Steenrod代数が作用していて、この作用の極小な生成元を求める問題が Hit problem でございます。多項式環には、一般線型群も作用していて、互いの作用は可換でございます。代数のはなしのようにも見えますが、位相幾何学的な背景もあり、さまざまな観点から考察を進めております。
- 希望する
連携内容 -
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理学部 基礎理学科
- 教授
東 村 秀 之
- 研究分野
有機化学、高分子化学、触媒化学
- キーワード
芳香族ポリマー、レドックス触媒
- 研 究
テーマ -
- 社会に役立つ新規な有機材料の開発
- ①次世代6G用高速通信材料の開発
- ②再生可能エネルギーによるグリーン水素の製造
- ③リチウムイオン二次電池の超高容量化
研究活動の概要①次世代6G用高速通信材料の開発
人工酵素触媒を用いる環境に優しい製法で、全芳香族炭化水素系として世界最小の誘電率をもつ新規ポリマーを見出しており、全自動運転を可能にする高速通信材料に向けて開発しています。②再生可能エネルギーによるグリーン水素製造
太陽光により水を分解できる人工光合成触媒や、再生可能エネルギーで水を電気分解する材料など、化石燃料を用いないグリーン水素を製造する触媒&材料を開発しています。③リチウムイオン二次電池の超高容量化
EVの航続距離を長くして普及を促進することを目的とし、リチウムイオン二次電池の正極材料を軽量&高容量にし、重量エネルギー密度の大幅向上を目指しています。- 希望する
連携内容 -
- 低誘電絶縁材料、二次電池正極材料、エネルギー関連触媒
- (国内外特許250件を取得してきた経験を活かし、有機材料であれば連携可能)
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理学部 基礎理学科
- 准教授
田 邉 洋 一
- 研究分野
ナノ構造物理、固体物理
- キーワード
グラフェン、3次元曲面
- 研 究
テーマ -
- 3Dグラフェンの新奇物性の開拓
- グラフェン3次元曲面への元素置換を利用した複合機能開拓
研究活動の概要炭素の原子層であるグラフェンを3次元の滑らかな曲面を利用して立体化する(3Dグラフェン)と、単位射影底面積あたりのグラフェンの光吸収や電気伝導度といった材料性能が増幅されることに加えて、曲面に由来した新しい物性が現れることが期待されています。我々は、3Dグラフェンを舞台として、曲面を流れる電子の基本的な物性の開拓と、元素置換による曲面の局所変形によって現れる狭い領域に閉じ込められた電子(局在電子)と動き回る電子(遍歴電子)の性質を利用することで、電極触媒や熱電材料として利用できる物質の探索を行っています。
- 希望する
連携内容 -
- 炭素材料の物性評価
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理学部 基礎理学科
- 准教授
新 原 隆 史
- 研究分野
隕石学、アストロバイオロジー、鉱物学、岩石学、宇宙化学
- キーワード
太陽系、隕石、衝撃変成
- 研 究
テーマ -
- 初期太陽系の物質進化
- 火星での水-岩石反応
- 太陽系天体の衝突進化史 など
研究活動の概要約46億年前から現在までの太陽系の形成進化史の解明を目指し、特に隕石試料の分析を行っています。この研究では研磨試料の顕微鏡観察から始まり、電子顕微鏡による微細構造の観察、電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)による微小領域での化学組成分析、顕微ラマン分光法を用いた鉱物結晶の解析などを行っています。研究対象は地球を含む太陽系天体すべてです。また得られた知見をもとに、深宇宙探査計画への参画や、探査機の試験に用いる模擬物質の開発も行っています。また宇宙物質に関連した展示・講演も行っています。
- 希望する
連携内容 -
- 岩石・鉱物についての微小領域の分析
- 宇宙物質科学研究の全般
- 展示・講演活動 など
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理学部 基礎理学科
- 講師
山 埼 洋 一
- 研究分野
関数解析学、確率論、積分論
- キーワード
確率、積分、関数空間、極限
- 研 究
テーマ -
- 積分の性質に関する研究
- 確率の意味と数学的確率論の関連
- いろいろな関数や確率的変動の極限的性質 など
研究活動の概要関数の積分とは、直観的には「グラフの下の面積」ですが、現在では様々な意味で一般化されています。そして、関数が関数に何らかの意味で「近づく」とき、それらの積分も近づくのか?という問いについては、状況によってYESとなったりNOとなったりします。積分の概念の本質を明らかにすることで、そのようなことが起こったり起こらなかったりする機構を明確化しようとしています。
また、確率と積分は密接に関係しています。いわゆる「期待値」や「分散(標準偏差))は確率変数の積分ですし、株価のように確率的に変動する過程の分析には確率積分というものが用いられます。
しかし現在数学で主流になっている「確率」の考え方は、かならずしも人間が「確率」に対して持つイメージと一致していません。そのため、哲学者の間ではいまも「確率とは何か」についての論争が続いています。このことは、確率に関する学校教育にも影を落としています。この問題を解決することで、確率に対する人間の考え方も進化するはずです。- 希望する
連携内容 -
- 確率に関する議論、積分に関する研究
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理学部 物理学科
- 教授
山 本 薫
- 研究分野
機能性有機固体
- キーワード
有機伝導体、強誘電体、顕微分光、赤外・ラマン分光
- 研 究
テーマ -
- 有機伝導体の研究
- 電子型強誘電体の研究
研究活動の概要有機伝導体の伝導電子は量子論的な波動と古典的な粒子の中間的な振る舞いを示し,様々な異常特性を引き起こします。我々はこの分子性化合物から,伝導電子が粒子として振る舞って結晶格子をつくり,巨視的な電気分極を発生する物質を探索しています。電気分極に参加している電子は外部電場と強く相互作用するので,高速なスイッチや,光-電変換材料としての応用が期待できるでしょう。実験手段としては,赤外・ラマン分光による分子の局所構造解析や,非線形光学効果,円二色性観測,熱電変換測定等を適宜選択しています。
- 希望する
連携内容 -
- 光学材料
- 有機薄膜材料
- 分光計測
- 顕微観測
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理学部 物理学科
- 准教授
渡 邉 誠
- 研究分野
光学赤外線天文学、天文観測機器開発
- キーワード
宇宙、撮像、分光、偏光、補償光学、波面測定、活動銀河核
- 研 究
テーマ -
- 波面補償光学の技術開発とその応用
- 活動銀河核の内部構造、形成進化、母銀河との相互作用の解明
研究活動の概要地上からの天体観測は、地球大気のゆらぎにより光の波面が乱され、天体像の空間分解能が劣化する問題があります。この問題を克服する、歪んだ波面をリアルタイムで補正する補償光学技術の研究とそれを用いた天文観測装置の開発を行っています。さらに、この技術を生物学・医学分野へ応用する研究も進めています。
また、宇宙の数ある銀河の中には、中心に潜む超大質量ブラックホールへの物質降着時の解放重力エネルギーにより、非常にコンパクトな領域から非常に強い光やジェットを放出する活動的な銀河中心核を持つものがあります。時間変動モニターや偏光、補償光学系による高分解能撮像などの観測手法を用いて、その内部構造や物理状態を調べ、活動銀河核の形成・進化や母銀河との相互作用などの解明を目指した研究を行っています。- 希望する
連携内容 -
- 補償光学技術を用いた望遠鏡・顕微鏡、測定機器の開発など
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理学部 物理学科
- 講師
久 保 徹 郎
- 研究分野
固体物理,磁性,強相関電子系,トポロジカル物質
- キーワード
核磁気共鳴,f電子系,ワイル半金属
- 研 究
テーマ -
- 核磁気共鳴法を用いた強相関電子系およびトポロジカル物質の研究
研究活動の概要金属間化合物は構成元素の組み合わせ次第で多彩な物性を示します。その主な担い手は電子であり、それらの量子力学的な相互作用により低温では磁性や超伝導などの量子現象が生じます。特に、希土類・アクチノイドを含む化合物では、特定の軌道状態(dおよびf軌道)にある電子と伝導電子の相互作用から、通常の金属では見られない新奇な量子現象が現れ、これらの系は強相関電子系と呼ばれます。また、電子のスピン状態と軌道運動の間の相互作用と特異な結晶構造によって、ワイル半金属僧相と呼ばれる新しい電子状態が生まれることが近年明らかとなり、世界的に研究が行われています。我々は核磁気共鳴(NMR)を用いて強相関電子系やワイル半金属の示す多彩な物性の起源を明らかにすることを目指した研究を行っています。また、最新の無線通信技術を利用した小型で複製の容易なNMR分光器の開発にも取り組んでいます。
- 希望する
連携内容 -
- 核磁気共鳴を用いた物性研究
- 小型・可搬なNMR分光器の開発
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理学部 物理学科
- 講師
山 内 大 介
- 研究分野
宇宙論、重力理論
- キーワード
インフレーション、暗黒エネルギー、暗黒時代
- 研 究
テーマ -
- 一般相対性理論のほころびから迫る宇宙の加速膨張
- 電波望遠鏡で拓く暗黒宇宙 など
研究活動の概要宇宙誕生直後および現在の2つの全く異なる時期に、宇宙が加速度的に膨張しているという驚くべき結果が最新の宇宙観測から強く示唆されています。しかし、この事実は重力が引力だという性質と相容れない事実です。宇宙誕生直後に加速膨張期があったとするインフレーション理論は複数の傍証が得られており、実際に起こったものと考えられています。興味深い事実として、最新の観測成果により、宇宙のごく初期において一般相対性理論のほころびが見えている可能性が示唆されています。現在の宇宙もまた加速膨張していることが様々な観測から強く支持されていますが、この観測事実を説明するには、「暗黒エネルギー」と呼ばれる全く未知の「宇宙を加速させる何か」が必要となります。現在の宇宙の加速膨張も一般相対性理論のほころびの重要なヒントだと考えられます。私は、本質的に新しい観測量の探求のため、宇宙の最初期の情報が保存されている人類未踏の「暗黒時代」「宇宙の夜明け」の観測が鍵になると考えています。これらの時代を探査しうる電波観測を通じて、詳細な宇宙史を解き明かすことを目指しています。
- 希望する
連携内容 -
- 重力理論を切り口とした加速膨張の研究
- 電波域における宇宙論の研究 など
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理学部 化学科
- 教授
岩 永 哲 夫
- 研究分野
構造有機化学,超分子化学,有機材料化学
- キーワード
有機合成,蛍光物質,有機機能性材料
- 研 究
テーマ -
- 新規な電子構造を持つパイ共役系分子の開発
- 芳香族ビスイミドを組み込んだドナー/アクセプター型分子の開発
- 有機系太陽電池材料の開発
研究活動の概要比較的取り扱いのしやすい汎用元素(C、H、N、O、S)から構成される有機分子を設計し、有機太陽電池など機能性材料に利用できる分子の開発が広く行われている。このような分子を開発するため に、我々は芳香族ビスイミドを基盤とした分子を設計し、置換基が持つ特異な性質を利用して化合物の研究を行っている。現在、成熟した有機合成化学の手法を利用して、汎用元素の一つで ある窒素をパイ共役系ユニットに組み込んだ新しい構造やその構造に基づいた機能をもつ分子の合成を目指 している。また、それらパイ共役系ユニットを集積させて、よく光る物質を構築したり、太陽光から電気へ変換する効率が高い有機機能性材料を開発することを目指して研究を行っている。
- 希望する
連携内容 -
- 有機太陽電池や有機半導体材料の開発
- 反応効率が高い有機合成法の開発 など
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理学部 化学科
- 教授
酒 井 誠
- 研究分野
レーザー分光、振動分光、顕微分光、時間分解分光
- キーワード
赤外超解像、ピコ秒レーザー
- 研 究
テーマ -
- 赤外超解像顕微鏡による生体分子観察
・赤外超解像分子イメージング
・分子配向イメージング
・キラリティーの観測
- 赤外超解像顕微鏡による生体分子観察
研究活動の概要従来、赤外光の回折限界による制約のため、細胞をはじめとする極微小生体試料やその反応ダイナミックス、さらには近年注目が高まっている新規機能を有するナノ材料を分子/分子集合体レベルで観察し構造解析/機能解析を赤外分光によって行う手段は赤外顕微鏡も含めて皆無でした。私たちの開発した赤外「超解像」顕微鏡は、市販の赤外顕微鏡では観察不可能であった、生体試料内部の赤外分光イメージングを超解像で実現します。下図は、人間の毛髪横断面を振動和周波光検出法で超解像赤外分光イメージングした結果ですが、市販の赤外顕微鏡では観察不可能であった毛髪の内部構造を明瞭に観察することに成功しています。得られた赤外超解像は、毛髪内部のα-ヘリックス構造を有するケラチンタンパク質のみを抽出した像であり、かつ、分子配向も観察されている事がわかりました。この方法は生体分子の観察にも極めて有効と考えています。新たな分子計測法の開発は物理化学の重要な役割であり、これにより、私たちは物理、化学、生物(生命科学)の境界領域のフロンティアを目指してます。
- 希望する
連携内容 -
- 様々な生体試料(タンパク質、糖類、脂質、細胞/生体組織など)の赤外超解像顕微鏡観察
- 新規な機能性無機/有機材料の赤外超解像顕微鏡観察
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理学部 化学科
- 教授
満 身 稔
- 研究分野
錯体化学、固体化学
- キーワード
可視光駆動型レドックス触媒,光水素製造触媒,光二酸化炭素還元触媒,多孔性配位高分子、ポルフィリン化学、混合原子価錯体、磁性体、誘電体、伝導体
- 研 究
テーマ -
- 光水素製造や光二酸化炭素還元が可能な可視光駆動型レドックス触媒の開発
- レドックス活性な架橋配位子を用いた配位高分子に基づく複合機能性材料の開発
- 部分酸化型一次元複核白金錯体に基づく一次元d電子系金属の開発
研究活動の概要金属錯体は,中心金属イオンの選択とそれを取り囲む有機π電子系配位子の設計を適切に行うことにより,有機化合物や無機化合物だけでは得られない機能や物性を発現することが可能です。この錯体の特徴を利用すれば,太陽光の効果的な光捕集とそのエネルギーを利用したさまざまな触媒反応が期待されます。そこで本研究室では,可視光の捕集と様々な反応の触媒作用が可能な金属ポルフィリン錯体を用いて,光水素製造や二酸化炭素還元が可能な可視光駆動型レドックス触媒の開発に取り組んでいます。また,機能・物性を目指した研究では,酸化還元活性な配位子を用いて,混合原子価状態に基づくユニークな磁性や誘電性を示す配位高分子の開発を行っています。さらに,低温まで安定な金属状態を示す部分酸化型一次元複核白金錯体に基づく一次元d電子系金属の開発を行っています。
- 希望する
連携内容 -
- 可視光駆動型レドックス触媒を用いた光水素製造や光二酸化炭素還元
- 金属錯体全般 など
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理学部 化学科
- 教授
山 田 真 路
- 研究分野
生体関連高分子化学
- キーワード
DNA、環境材料、エネルギー材料、バイオプラスチック
- 研 究
テーマ -
- DNAを用いた有害物質の除去
- 生体高分子を用いた環境材料の創製
- 生体高分子を用いた非水プロトン伝導体の創製
- サスティナブルな素材を用いたバイオプラスチックの創製 など
研究活動の概要我々の身近には、サケ白子由来のDNAや脱脂大豆由来のタンパク質、カニ・エビ殻由来のキチン・キトサン、牛骨・牛皮由来のコラーゲンなど産業廃棄物として処分されている生体高分子が多く存在している。このような生体高分子は石油のような枯渇性資源とは異なるためサスティナブルな資源と言い換えることも出る。そこで、このようなサスティナブルな資源を用い、有害な有機物質を集積する素材や有害な重金属イオンまたは有用なレアアースイオンを集積する素材、燃料電池用のプロトン伝導体、生分解性を有したバイオプラスチックなどの材料開発を行っている。
- 希望する
連携内容 -
- DNAを用いた環境浄化材の創製
- サスティナブルな資源を用いた素材の開発 など
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理学部 化学科
- 准教授
大 坂 昇
- 研究分野
高分子構造物性(溶液、ゲル・エラストマー、プラスチック)
- キーワード
階層構造解析、各種散乱法(光・X線・中性子)
- 研 究
テーマ -
- 高分子の結晶構造制御と物性・機能発現
- ブレンド・コンポジット化による構造制御と物性向上
- 高分子と溶媒との微細な相互作用の解明
研究活動の概要日常生活に欠かせないプラスチックやゲル、エラストマーなどの高分子材料は、ナノからマイクロメートルに及ぶ階層構造を制御することで、意外なほど少種類の高分子から成り立っています。当研究室では、この階層構造を制御して優れた高分子材料を創製するだけでなく、顕微鏡や散乱、分光などの測定手法を駆使して、階層構造と物性・機能(熱・力学・電気・透明性)との関係解明を行い、地球に優しい材料の創製に貢献します。
- 希望する
連携内容 -
- 高分子材料の階層構造解析
- 構造と物性(力学、熱、透明性)との関係解明
- 構造制御やブレンド・複合化による高分子の新材料開発 など
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理学部 化学科
- 准教授
若 松 寛
- 研究分野
有機化学、光化学、計算化学
- キーワード
機能性物質、光反応、電子移動、量子化学計算
- 研 究
テーマ -
- 光誘起電子移動を利用した新規光反応の開発と応用
- 量子化学計算による機能性有機分子の物性・反応性の解明
研究活動の概要光誘起電子移動を利用した新規光反応の開発とその機能性物質合成への応用を目的とした研究活動を行っています。現在主に、(1) アルカロイドの一種として天然に広く見られるインドール誘導体の光化学的合成法の開発、(2) キノンイミン型色素の効率的な光化学的合成法の開発と応用に取り組んでいます。これらの有機化合物は特徴的な酸化還元挙動を示すため、量子化学計算による物性予測の知見を取り込みながら、有機EL材料など機能性材料への応用を視野に入れて研究しています。
- 希望する
連携内容 -
- 光反応で機能が発現する有機化合物の開発
- 量子化学計算による機能性有機分子の物性・反応性の予測